歯科衛生士の面接で院長が嬉しい質問・困る質問|採用する側の本音
面接の終わりに「何か質問はありますか」と聞かれて、何を言えばいいか迷う。歯科衛生士の転職で、この場面が苦手な人は多いはずです。私は開業して採用面接を自分でやっている歯科医師です。採用する側から言うと、嬉しい質問と困る質問は、はっきり分かれています。この記事では、応募者から言われて嬉しかったこと、答えに困ったこと、そして給料の質問を院長がどう受け取っているかを、経験した範囲だけで書きます。読み終わるころには、面接の最後に何を言うかが決まっているはずです。
院長が嬉しいのは「医院を見てきた」とわかる質問
嬉しかったのは、質問というより、医院を調べてきたとわかる一言でした。ホームページを読んできて「先生の考えに惹かれました」。あるいは「長く働きたいです」。
院長の言葉
ホームページなどを見てきてくれた人は、「先生の考えに惹かれました」とか、「長く働きたいです」とか。医院に対して積極的な人は嬉しいですね。
なぜ嬉しいのか。前の記事「歯科衛生士の面接で院長が見ている3つのこと」で書いたとおり、院長が面接で知りたいのは「なぜうちなのか」です。医院を調べてきた人の一言は、聞く前にその答えが出ている状態です。
採用する側は、入ったあとに続くかどうかを見ています。医院に対して積極的、というのは、そのまま「この人は続きそうだ」に見えます。
質問の形にするなら、ホームページに書いてある方針を一つ挙げて、「この方針は、現場ではどう動いていますか」と聞くのが一番伝わります。調べてきたことと、働くつもりで考えていることの両方が、一つの質問で伝わるからです。
困るのは「やってみないとわからない」質問
逆に、答えに困った質問もあります。代表は「人間関係が不安です」です。
院長の言葉
困った質問は、「人間関係が不安です」とか。やってみないとわからないことは、聞かれても困ります。
不安な気持ちはわかります。人間関係で辞める歯科衛生士が多いことは、採用する側も知っています。
ただ、院長の側からは「大丈夫です」としか答えようがありません。そして「大丈夫です」と言ったところで、何の保証にもなりません。合うかどうかは、入って一緒に働いてみないとわからない。これが正直なところです。
同じ不安を持っているなら、聞き方を変えてください。「人間関係は大丈夫ですか」ではなく、「スタッフ同士で困ったとき、どう助け合っていますか」「直してほしいことがあるとき、どうやって伝えていますか」。これなら院長は、具体的に答えられます。医院として決めていることがあれば、その場で出てきます。何も出てこなければ、それも一つの答えです。
補足
日本歯科衛生士会の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」でも、退職理由の上位に職場の人間関係が入っています。不安に思うのは自然なことです。問題は不安の有無ではなく、面接で確かめられる形に変えられるかどうかです。
給料の質問を院長はどう受け取っているか
給料のことを聞くのは、困る質問ではありません。生活に直結する話なので、聞かれて当然だと思っています。困るのは、「最初から高く」という要求のほうです。
院長の言葉
最初のスタートの給与は前職を考慮します。ただ、ここもやはり、どれだけうちと合うのかを見極めてから上げていきたいところです。すぐに辞められてしまうのに高額な給与は、正直、経営者からすると厳しいです。
院長の頭の中は、こうなっています。前職の給料は見る。合うとわかれば上げていきたい。でも、合うかどうかわからないうちから高い給料を出して、すぐに辞められたら、医院には何も残らない。
だから給料は、「初任給はいくらですか」より「どういう基準で上がっていきますか」と聞いてください。院長が答えやすい質問であると同時に、「長く働くつもりで聞いている」と伝わる質問です。希望額を伝えること自体は、問題ありません。伝えたうえで、上がる基準を一緒に聞く。この順番です。
面接の最後に言うことを3つ用意する
ここまでの話を、面接の最後の場面に置き換えます。「何か質問はありますか」と聞かれたら、この3つのうちどれかを出せるように準備しておいてください。
- 医院の方針に触れた質問を一つ。ホームページの文言を引いて、「現場ではどう動いていますか」と聞く。
- 自分の意思を一言。「長く働きたい」「ここでこういう仕事がしたい」を、短く。
- 給料は「上がる基準」で聞く。希望があれば伝えたうえで、基準を聞く。
避けるのは、相手が「大丈夫です」としか答えられない質問です。「人間関係は大丈夫ですか」「忙しいですか」「残業は多いですか」。聞きたいことがあるなら、具体的な仕組みの形にして聞いてください。
よくある質問
- 質問が思いつかないとき、「特にありません」と答えてもいいですか
- 一つは用意しておいてください。採用する側は「医院に対して積極的な人」を嬉しく感じています。何もないと、その裏返しで、医院に関心がないように見えます。ホームページの方針を一つ引くだけで十分です。
- 人間関係について、どうしても聞きたいときはどうすればいいですか
- 「大丈夫ですか」と聞かずに、仕組みを聞いてください。「困ったときにどう助け合っているか」「直してほしいことをどう伝えているか」。院長が具体的に答えられるかどうかで、その医院が人間関係にどう手を打っているかが見えます。
- 給料の希望額は言ってもいいですか
- 構いません。前職の給料は考慮されます。ただ、「最初から高額」は、合うかどうかわからない段階では厳しいと見られます。希望を伝えたうえで、「どういう基準で上がるか」を聞くと、長く働くつもりだと伝わります。
まとめ:面接の前日にやること
- 応募先のホームページを読み、方針を一つ引いて「現場ではどう動いているか」の質問にする。
- 「長く働きたい」「ここで何をしたいか」を、一言で言えるようにしておく。
- 給料は「どういう基準で上がるか」で聞く。希望額は、そのあとで。
院長が嬉しいのは、医院を見てきたとわかる質問です。困るのは、やってみないとわからないことへの答えを求める質問です。この差を知っているだけで、面接の最後の数分は変わります。
面接で聞くことを一人で整理しにくいときは、歯科専門の転職エージェントに面接前の相談をするのも一つの方法です。この記事の筆者は採用する側なので、エージェント各社の実態は別の記事で「紹介料を払う側」の目線から書きます。