院長の本音歯科衛生士の転職・面接を、採用する側から

歯科衛生士の面接で院長が見ている3つのこと|採用する側の本音

公開 2026-11-07 更新 2026-11-07 筆者:開業して採用を自分でやっている歯科医師(匿名)

歯科衛生士の面接で、院長が最初に見ているのは技術でも経歴でもなく人柄です。患者さんと、そして一緒に働くスタッフとうまくやっていけるか。私は開業して採用面接を自分でやっている歯科医師です。この記事では、面接で必ず聞いている質問と、見送った人に共通していたことを、経験した範囲だけで書きます。読み終わるころには、次の面接で何を準備すればいいかが決まっているはずです。

歯科衛生士の面接で最初に見るのは人柄

技術は後からでも伸びます。人柄は面接の場でしか確かめられません。だから私は、履歴書より先に「この人と毎日一緒に働けるか」を見ています。

理由は単純で、歯科医院は小さい組織だからです。患者さんとのトラブルはもちろん怖い。それ以上に怖いのは、院内の人間関係を壊してしまう人が入ることです。一人が合わないと、全員が疲れます。

院長の言葉

人柄の良さ、人当たりの良さを重視します。患者さんとのトラブルはもちろん、一緒に働く人たちとうまく付き合っていけるのか、組織のクラッシャーにならないのか、そこが一番不安です。もちろん採用するからには信頼してやります。

人当たりがいい人は、患者さんからも好かれます。周りとの関係も自然に作れます。採用する側から見ると、これは技術より先に欲しい資質です。

「どの瞬間で判断しているのか」と聞かれると、正直なところ決まった瞬間はありません。入ってきたときの挨拶、話を聞いているときの表情、こちらの説明への返し方。面接の最初から最後まで、ずっと見ています。

必ず聞く質問は「なぜうちなのか」

面接で必ず聞くのは、「なぜうちの医院なのですか」という質問です。聞きたいのは志望動機の文章ではなく、何に惹かれたのかです。

惹かれたものは、大きく2つに分かれます。待遇や条件か、医院の考え方か。

院長の言葉

うちの医院の何に惹かれたのか。待遇や条件に惹かれたのか、組織の思想に惹かれたのか。思想に惹かれていると長続きするかもしれません。条件面だけで来ている人は、あまり長く続かない傾向がある気がします。

条件を見て応募すること自体は、何も悪くありません。給料も休みも、生活に直結します。ただ、「何に惹かれましたか」と聞かれて条件しか出てこないと、採用する側には「もっといい条件が出たら移る人」に見えます。

逆に、医院の方針や診療の考え方に触れて「ここが自分に合うと思った」と言える人は、入ってからのズレが少ない。これは採用する側の実感です。

面接の前に、その医院のホームページで理念や診療方針を読んでおく。そのうえで「自分はこの部分に共感した」と一つ言えるように準備しておく。それだけで、この質問への答えは変わります。

見送った人に共通していたこと

開業前の面接では、採用した人も見送った人もいました。見送った理由は、はっきりしています。

院長の言葉

まずは人柄を見ました。ちゃんとコミュニケーションが取れるのか。人当たりがいいのか。話を聞いてくれるのか。我が強すぎないのか。医院に付加価値をもたらしてくれるのかを考えました。見送ったのは、我が強すぎる、話を聞かずに自分からの話ばかりしてしまう、そういったところです。

採用側が見ていたことを表にすると、こうなります。

見ていたこと採用につながった見送りにつながった
コミュニケーション質問に正面から答え、会話が成り立つ会話がかみ合わない
話を聞くかこちらの話を聞いてから返す話を聞かずに自分の話ばかりする
我の強さ意見はあるが押し通さない我が強すぎる
付加価値医院に何を足せるかが見える見えない

「我が強い」というのは、意見を持っていることではありません。意見を持っている人は歓迎です。問題になるのは、相手の話を聞かずに自分の話を続けてしまう姿勢です。小さな組織では、それが毎日の摩擦になります。

面接の場で一番わかりやすいのは、こちらが質問したあとです。質問に答えてから自分の話を足す人と、質問を離れて自分の話だけになる人。この差は、面接官の側からはかなりはっきり見えます。

面接でやっておくと伝わる3つのこと

ここまでの話を、応募者側の行動に置き換えます。私が面接で「この人は一緒に働ける」と感じた人がやっていたことです。

  1. 質問には、まず聞かれたことに答える。自分の話はそのあとに足す。
  2. 「なぜうちなのか」に、条件以外の理由を一つ用意する。医院の方針で共感した点を具体的に。
  3. 自分が医院に足せることを一つ言う。得意な処置でも、患者さんへの声かけでも、小さくていい。

補足

日本歯科衛生士会の勤務実態調査では、歯科衛生士の76.4%が一度以上は勤務先を変えた経験があると答えています。転職そのものは珍しくありません。採用する側も、転職回数より「この医院で続くか」を見ています。出典:日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」

逆に、やらなくていいこともあります。無理に明るく振る舞うこと、模範解答を暗記すること。面接で見ているのは「作った人当たり」ではなく、話を聞く姿勢と、返し方の自然さです。

よくある質問

条件や給料の話を面接で聞いてはいけませんか
聞いて構いません。働く条件を確認するのは当然です。ただし「何に惹かれたか」への答えが条件だけだと、長く続かない人に見えます。条件の確認は、志望理由を話したあとにする順番がいいです。
経験が浅いと不利ですか
私は技術や経歴より先に人柄を見ています。経験が浅くても、話を聞ける人、質問に正面から答える人は採用の候補に残ります。経験が長くても、聞く姿勢がなければ見送ります。
面接のどの場面が一番見られていますか
決まった場面はありません。挨拶から退室まで、ずっと見ています。特定の場面で取り繕うより、全体を通して相手の話を聞くことを意識してください。

まとめ:次の面接までにやること

  1. 応募先のホームページで理念と診療方針を読み、共感した点を一つ決める。
  2. 「なぜうちなのか」への答えを、条件以外の理由で30秒で言えるようにする。
  3. 面接では、聞かれたことに先に答える。自分の経験の話はそのあと。

院長が見ているのは、技術の前に人柄です。人柄といっても性格を変える話ではなく、話を聞く姿勢と、質問への返し方のことです。ここだけ意識すれば、面接の印象は変わります。

志望動機を一人で整理しにくいときは、歯科専門の転職エージェントに面接前の相談をするのも一つの方法です。この記事の筆者は採用する側なので、エージェント各社の実態は別の記事で「紹介料を払う側」の目線から書きます。